くまこ道

滝町昌寛の日常 くまこへの道

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団子虫会議 続編

第二章


女が話し終えた後は、女の小さくすすり泣く声ばかりが聞こえておりました。

重苦しい空気の中、各自、各団子虫たちにも思いがあるようです。


「おらの、お爺いもそうじゃった。 おらのお爺いもビニールにのどを詰まらせて死んだんじゃ。」
ぽつりと聞こえてまいりました。

「隣山の森でも、まだ年端もいかない子が、おんなじように亡くなったそうじゃ!」
団子虫たちはざわざわざわめき立ちました。

「そうじゃ! 最近はやたらめったらビニールのようなものが森に落ちておる!
これは危険なことじゃ!」

「そうじゃ、そうじゃ! あれらは食うことができんから分解できんのじゃ!」
「そうじゃ、そうじゃ!」
「あれらは、困ったものなのじゃ!」

団子虫たちの気持ちは、先ほどまでの、女の気持ちに対する同情や思いやりの悲しい気持ちから、
森を汚す人間たちへに憎しみの気持ちへ変わっていったのであります。

団子虫たちの会議はざわめきたっています。
もう、会議というより、決起集会の様相をみせております。
怒りの力が、怒りの空気が支配しております。


そんな空気の中、女はただただ泣き続けております。



第三章・最終章

「よし! 人間たちに抗議しよう!」
ある団子虫が立ち上がりました。

おー!
盛り上がります。

他方から意見が出てまいります。
「抗議はいいが、わしたちには言葉を発することができんじゃないか。
言葉がしゃべれないわしらの気持ちをどうやって人間たちに知らせたらいいんじゃ?」

うむむむー。
さすがにそれはそうであります。
団子虫は言葉が使えないのであります。
団子虫同士はなんらかの方法で話ているのですが、それは人間が使う「言葉」というものではないのであります。

団子虫たちは、固まって考えだします。
丸くなってしまっているものもちらほらいるようです。

「よし!こうなったら噛み付いてやろう! みんなで人間たちに噛み付いてやろうじゃないか!」

「わしたちのこんな小さな口で噛み付いてもどうなんじゃろう?」

「いや、いくら俺たちの口が小さかろうが、みんなで束になって噛み付いたら、やっぱり多少は人間たちも痛がるんじゃないか。」

「そうじゃ、そうじゃ。 ほんの少しでも、人間たちに痛みを知らしめてやろうじゃないか!」

会議は過激な方向に進んでいっている模様です。

「よし、じゃあ、今から行くべ! この森を出てすぐのところにある人間の家にみんなで行って、噛み付いてやろう!」
「おー! 行くべ、行くべ!」
「やってやろう!」

団子虫たちによる人間への噛み付き行為が始まろうとしております。
数名の団子虫はもう、駆け出しております。

そんな中、少し小さな団子虫が言いました。

「やめようよ。」


ざわめきたっていた団子虫たちは、静まりかえりました。


「やめようよ、そんなこと。」

小さな団子虫は、小さな声で言いました。

そして、勇気をもって話し始めました。

「僕、がんばってビニール食べてみるよ。
それで、のどに詰まったら吐き出して、
それでもまた食べて、がんばってみるよ。

それでもし、僕がビニールを分解できるようになったら人間を責めなくてもよくなるよ。

もし、僕にそれが出来なかったとしても、僕の子供や、その子供たちが、いつかビニールを分解できるように、

そうなったら、責めなくてよくなる。
僕はやってみるよ。」

小さな団子虫の、小さな声は、みなの心に響いたようであります。



団子虫たちは争いをやめました。

一匹、二匹と各自の深い考えの中、
各自の寝床へ帰ってまいります。


女のすすり泣く声は、いつしかやんでおりました。


会議の開かれた森に、月の光がやさしくさしこみました。


希望がありますように。


     
 小さな森で、起きた団子虫の会議


   



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  1. 2010/02/11(木) 18:38:58|
  2. 小説
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