くまこ道

滝町昌寛の日常 くまこへの道

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美しいひと

 「 美しいひと 」


そのひとはあまりにも美しかった。
誰もがそのひとの美しさに目を奪われた。

そのひとは時間があれば鏡を見つめていた。
そして、お肌の手入れに時を費やした。
姿勢、身体の美しさにも手を抜くことは決してなかった。
そのひとの美しさにはますます磨きがかかっていった。

そのひとはあまりにも美しくなりすぎた。
ただ、ひとつだけ残念なことがあった。

そのひとは山奥のひとも訪れないような田舎に生まれたのだ。

そのひとの美しさは村人誰しもが認めることだった。
だが、その美しさは田舎の村では何の力にもならなかった。
そのひとは美しくなるためだけに時間を費やしたので料理もできなければ家事も一切できなかった。
その村では美しい肌よりも草刈の方が大切だった。
美しい指よりも土を耕す力強さの方が尊ばれた。
美しい服を着飾るより日焼けした笑顔の方がみんなに好かれた。

その人の美しさは鏡の中だけで輝いていた。

そのひとは村では役立たずだった。

残念なことだ。

その人がもし都会の真ん中で生まれたならきっときっと有名な女優さんになっただろう。
その人がもし都会の真ん中で生まれたなら美しさだけに時間を費やしたとしても誰しもがそれを認めただろう。

残念なことだ。

ほんのちょっとしたことで物事は変わってしまうのだ。

そのひとの美しさは悪くないのに。
ただただ生まれた場所が違ったのだ。

残念なことだ。

ああ、また時間が過ぎていく。

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  1. 2010/06/01(火) 13:21:04|
  2. 小説
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